ツアー会社倒産で路頭に迷う

2017年3月24日に、てるみくらぶのトラブルが報道され始めました。そして、週明けの3月27日に倒産しました。

BS12の番組「ハワイに恋して」が急に終わったのでどうしたんだろうと思ってましたが、てるみくらぶがメインスポンサーでしたね、そういえば。

今回は、ツアー旅行中の方にトラブルが発生しているので、そこを中心に書いてみます。会社の経営がどうとか、倒産直前の現金一括入金ツアーは詐欺じゃないかとか、決算報告が虚偽じゃないかとか、そういうことには触れません。( ※以下は報道されていることをベースに、私の考え・理解を書いているので、事実と異なる可能性があります )

 

てるみくらぶが倒産したことによって、宿泊中のホテルから追い出される、追加の支払いを求められる。また、航空券があるのに搭乗できない。そういうことが発生しているようです。色々な報道などを通してわかってきたのは、ホテルも航空券も掛けで売買されているということです。当たり前といえば当たり前ですが、これがツアー旅行中の方を直撃したトラブルの原因のひとつです。

 

例えば、ホテルはツアー会社から申し込みを受け客を宿泊させますが、支払いは後日です。客が宿泊している時、ホテルには入金されていません。後日の入金が約束されているので、宿泊サービスを先に提供しているわけです。しかしながら、ツアー会社が倒産してしまえば、「入金の約束」は果たされなくなります。ホテルはサービスの対価が得られないのですから、宿泊している当人が支払わない限り、その人は客ではなくなります。

 

一方、航空券が手元にあるのに、搭乗できないってどういうことでしょうか。これは、ツアー会社がIATAに保証金を積んで、「買掛で航空券を発券する」ことができるのが原因です。そして、こちらも代金は後払いしています。今回は、発券済み航空券の支払い期限が3月23日で、そのお金が準備できなかったようです。そのために、航空券はあるのに未払いで無効、という扱いとなった。そういう風に考えると状況と合致します。

 

ということは、旅行中にツアー会社が潰れたら、「泊まる所も帰りの便も無くなり、海外で路頭に迷う」ことになるんですね。これは初めて知りました。そして不思議なことは、こういう状況になった人を助ける手段があるのか無いのか、その点が全く報道されないことです。戦争になったりしたら、自衛隊機で救出とか、民間機をチャーターできないのかとか、国会でも議論されます。今回はすぐに命にかかわる状況ではないですが、帰国する手段がない人たちはどうなってしまうのでしょうか。ツアー利用ばかりで個人手配したことが無いと、航空券の取り方すら分からないでしょうし。

てるみくらぶ社長が記者会見で「自力で何とかしてください」と言ってましたが、実際それしかないのかもしれません。ただ、旅行中の方に、てるみくらぶの倒産が伝わっているのかどうか。状況が把握できないまま、右往左往している方も大勢いそうです。

 

てるみくらぶは、格安ツアーとして有名でした。新聞広告やホームページを見て、あまりの安さに申し込もうと考えたこともありました。しかし、どこの業界もそうですが、「格安」にするには仕組みや仕掛けが必要ですし、「薄利多売」が基本になっています。「多売」がうまくいかないと、途端に価格メリットを実現するための「薄利」が重くのしかかってきます。そうして、資金繰りに詰まっていったようです。

 

 

ツアーと個人手配の違いとしてよく言われることに、次の2点があると思います。
・個人手配は何かあっても自力解決、ツアーならツアー会社に相談できる。
・旅行初心者は、ツアーに参加した方が安心して旅行できる。

しかし、これはツアー会社が営業していることが前提です。倒産してしまったら、ツアー会社は頼れませんし、お任せしている分こちらは無防備です。これからは、海外旅行では盗難や事故・ケガのリスクだけでなく、ツアー会社が倒産したときのことも考えなくてはいけないのかもしれません。

 

ツアー旅行を利用する場合でも、そのメリット・デメリット、そしてリスクを考え直す必要がありそうです。

もちろん、これは個人手配の方が良いということではなく、リスクを最小限にして、メリットを享受するにはどう選択して行動すれば良いのか、事前に考えて備えておく必要があるということです。

 

Updated: 2017年4月1日 — 7:31 PM